学院長ごあいさつ

現代における寺子屋の復活

東方学院長 藤井教公

江戸時代、日本では「読み・書き・そろばん」を教える寺子屋が発達し、一般民衆の初等・中等教育を担っておりました。ですから江戸時代を通じて日本の識字率は世界一でした。

また、この寺子屋とは別に、地域の旦那衆たちが集まって学僧などを講主として、『天台四教儀』や『八宗綱要』などの仏教入門書を読んでもらっていたようです。いわばサロン、私塾です。このような町民や農民などからの文化の下支えが、明治維新以後の日本の急激な発展を支えました。

現代において中村元博士が、ただ研究を行うだけの場でなく、教育をも行う場所としての東方学院を設けられたことは大変大きな意義があると思います。大学や研究所などのアカデミックな機関では得られないテーマ選択の自由さ、規則にしばられない研究の自由さ、セクショナリズムからの自由さ、これらが東方学院の特長です。こうした私塾である東方学院を中村博士のご令室中村洛子名誉理事長、ならびに前田專學名誉理事長は「現代の寺子屋」と呼ばれています。

今後も、中村元博士の「慈しみの心」の原点を忘れず、現代の寺子屋のエネルギーを持続させ、それがやがて日本の文化の未来を支えることになるように努力したいと思います。

 

東方学院長 藤井教公

国際仏教学大学院大学教授・元学長

北海道大学名誉教授

 

公益財団法人中村元東方研究所・東方学院
◇ 設立 1973年
◇ 創立者 中村 元
◇ 理事長・学院長 藤井教公
◇ 講師約 65名
◇ 研究会員 延べ約350名
◇ 教室 東京、関西、中部