(T05) 現代脳科学と仏教心理学

浅野 孝雄(あさの たかお)
埼玉医科大学名誉教授

【現代脳科学と仏教心理学:水曜15:00-16:30】紀元前五世紀の枢軸時代に生まれたブッダは、心についての教説を完成させた。それから現代に至るまで、脳自体はなんら変化したわけではないのに、ブッダの教説については、幾多の仏教諸派において、夫々に異なる解釈が為されてきた。このような現代において、脳科学が提示する意識理論とブッダの教説を照らし合わせて比較することは、脳と心の関係についてのより深い理解を可能ならしめると同時に、ブッダの教説の、時代と場所を超越した普遍性と真理性を見いだすことに役立つと考えられる。

(T06) 大乗仏教思想概説

渡辺 章悟(わたなべ しょうご)
東洋大学名誉教授

【大乗仏教思想概説:木曜10:30-12:00】本講義はインドにおける大乗仏教の成立と発展を概観します。大乗仏教とは何か、またどのように成立し、発展したのか、その要因について、歴史的な基盤を踏まえて、政治、社会、経済、文化の立場から検討し、大乗仏教を支えた仏教教団の実態と、思想の変遷をみていきます。

(T07) ヒンドゥー教の思想と文化

宮本 久義(みやもと ひさよし)
元東洋大学教授

【ヒンドゥー教の思想と文化:木曜15:00-16:30】インドは仏教発祥の地として有名ですが、現在のインドでは約8割の人がヒンドゥー教を信仰しています。本講座では、仏教との相違を念頭に置きつつ、ヒンドゥー教の成り立ちから神々の構成と神話の解釈、人々が遵守すべき教義、祖先供養、聖地巡礼などを解説します。

(T08) 仏教の「存在の眞理」とその哲学的開放・続

津田 眞一(つだ しんいち)
国際仏教学大学院大学名誉教授、Ph.D.(A.N.U.)、文学博士(東京大学)

【仏教の「存在の眞理」とその哲学的開放・続:木曜15:00-17:00】釈尊によって教示された仏教の「存在の眞理」は、仏教の思想史的展開を俟ってその現実を実証する。仏教を全く知らなかったシェリングは、その『自由論』の世界構想において現実に仏教との顕著な並行性を示しており、さらに、意識的にはそのシェリングを迂回せんとしたハイデッガーの思考は、その「存在の眞理」の内実において、果然、回帰的にシェリング=仏教的な方向性を示してくる。本講は今年度、その回帰の現実を検討し、以て仏教思想の開放性の一端を証示する。

(T09) 東南アジアの宗教・歴史・文化

奈良 修一(なら しゅういち)
(公財)中村元東方研究所専任研究員

【東南アジアの宗教・歴史・文化:木曜16:40-18:10】東南アジアと言われる地域は、中国文明とインド文明の狭間にあり、交易を中心とする国家を成立してきた歴史があります。また、その土地の文化の上にインド宗教文化などを受容し、それをその土地のものとして変容してきました。日本との関わりも深いこの地域ではありますが、その宗教・歴史・文化はあまり知られていません。本講義では、この地域の歴史を概観すると共に、受容してきた文化も考察していきます。

(T10)真の宗教と社会倫理へのいざない

釈 悟震(しゃく ごしん)
中村元記念館東洋思想文化研究所副所長、文学博士

【真の宗教と社会倫理へのいざない:土曜10:30-12:00】〈宗教はどのような社会理想を目指していたのか〉という問いを、不動の根本仏教を含めた古代インドの思想から考えます。
政教分離の原則はあれども、宗教と社会・生活は今日の日本でも密接な関係にあります。宗教と政治/国家/経済/社会政策の関係や、宗教が古代インド人の社会理想にどのように結びついていたかを、中村元博士のまとめあげた「不朽の名著」から学びたいと思います。

(T11) 英語による仏教哲学

Mathew Varghese(マシュー・ヴァルギース)
青山学院大学講師

【英語による仏教哲学:土曜15:30-17:00】英語で学ぶ仏教哲学の講座です。サンスクリット文献を通し、仏教の哲学的な様相を学習します。原典を読みながら仏教で用いられるサンスクリット語のより深い意味を探求していきます。特に本年度は、ヨーガについて仏教と他の哲学との比較等、活発な討論を行っていきたいと思います。

(T12) 『華厳五教章』を読む

竹村 牧男(たけむら まきお)
東洋大学名誉教授

【『華厳五教章』を読む:1・3月曜13:00-14:30】唐の賢首大師法蔵は、師・智儼のあとを受け、華厳教学を大成させた。その綱要が、『華厳五教章』にまとめられている。そこには、華厳宗の教相判釈、華厳一乗思想等のほか、事事無礙法界を構成する一入一切・一切入一、一即一切・一切即一等の論理を詳述した十玄門、六相門等が説かれている。『五教章』は十章から成っているが、本講ではその中、第九章「所詮差別」を講読する。

(T13) アビダルマ入門

木村紫

木村 紫(きむら ゆかり)
立正大学非常勤講師

【アビダルマ入門:火曜13:00-14:30】アビダルマは、仏により説かれた言葉をどのように理解するかということから始まっています。輪廻している私たちの心とそのはたらきと対象、そしてそれに基づく行為を詳細に分析し、原因と結果についても深く考察しています。聞きなれない言葉も多く、精緻な分析はこみいったジャングルのようですが、仏教思想を学ぶ上での礎でもあります。少しずつ解きほぐしながら、読んでいきたいと思います。

(T14) 法華経を読む

北川 前肇(きたがわ ぜんちょう)
立正大学名誉教授

【法華経を読む:金曜10:30-12:00】西暦406年、鳩摩羅什三蔵によって漢訳された『妙法蓮華経』(法華経)は、天台大師、妙楽大師、伝教大師、日蓮聖人等の一乗思想を標榜する人々によって、種々の解釈がなされてきました。法華経には、私たち人間を絶対肯定し、娑婆世界に存在することの意義が説き明かされています。そこで、この法華経を文々句々読みとくことによって、その教えをたずねてみたいと思います。